Gen Adachi 
足立 元
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​日本近現代の美術史・社会史を研究。
美術の枠を超えようとした人々、あるいは絵筆を折ってしまった人々に関心を持っています。
目標は、社会的なイメージをつうじた近現代史を描くことです。
「前衛の研究」よりも「研究の前衛」でありたい。
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2017年〜 二松学舎大学に勤める。
2022年〜 望月桂調査団を組織。
2024年〜 日本美術オーラル・ヒストリー・アーカイヴ共同代表。



​主な著作・編著
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足立元、岡村幸宣、塩原理絵子編『望月桂 自由を扶くひと 展覧会ZINE』望月桂調査団、2025年4月

原爆の図丸木美術館の望月桂展に合わせて発行・無料配布したZINE。60頁カラー。巻頭エッセイ「望月桂 回転する線と転回する時代」の執筆、作品解説、編集後記など執筆。

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『アナキズム美術史 日本の前衛芸術と社会思想』平凡社、2023年8月

1900年代から1950年代に至る日本の前衛芸術を、アナキズム、共産主義、軍国主義、占領政策との関わりから論じる。先鋭的なイメージが社会思想とともに生成消滅してきた構造を明らかにする。​『前衛の遺伝子 アナキズムから戦後美術へ』(ブリュッケ、2012年)の増補新版。「超克と回帰 プロレタリア美術運動から日本美術会へ」および「前衛のアポトーシス 政治-芸術の消滅と転生」を新たに収録。

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足立元編、富本一枝著『新しい女は瞬間である 尾竹紅吉/富本一枝著作集』皓星社、2023年8月

尾竹紅吉こと富本一枝は、画家をやめた文筆家である。若き日に『青鞜』に参加し、自ら雑誌『番紅花』を創刊し、その後富本憲吉の妻となり、長年文筆活動を行なった。一枝の文章は、絵画的・信仰的な内容を含み、政治や性の問題など現代的な視点を持っている。生前に一冊も著書を残さなかった彼女の初の著作集を編んだ。解説「今日の芸術家としての尾竹紅吉/富本一枝」を執筆。

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「日本の社会派アート 祝祭と暴力のイメージ200年」『メディア芸術カレントコンテンツ』2021年9月-2023年2月

1. ​帝国日本への反逆(リンク)
2. 戦争への抵抗(リンク)
3. 日本最初期のフェミニズム・アート(リンク)
4. 水平社運動のマンガ(リンク)

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『裏切られた美術 表現者たちの転向と挫折 1910-1950』ブリュッケ、2019年6月

戦前から戦後にかけての50年間、美術・漫画・記録映画と社会運動の危険な交わり。

第1章 芸術家と社会―戦前から戦後にかけての左翼思想と美術
第2章 鎖を引きちぎろうとする男―幸内純一の『近代思想』挿絵と「鎖」の表現史
第3章 地方のプロレタリア美術―移動展と地方支部
第4章 何が彼らをそうさせたか―プロキノの移動映写・展覧会活動
第5章 小野佐世男―逆説の漫画家・空談家
第6章 藤田嗣治の漫画―望月桂と雑誌『バクショー』との関わりから
第7章 破壊のための美術史―中原佑介「日本近代美術史」をめぐって
第8章 大塚睦―予見者・反逆者・哲学者
第9章 前衛のちひろ一九四七‐一九五二
第10章 サドの眼―前衛記録映画とモンタージュ絵画

最近の仕事から
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「望月桂 自由を扶くひと」展 原爆の図丸木美術館2025年4月5日〜7月6日
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開催中。
紹介記事
 - Tokyo Art Beat 永田晶子さん
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企画展「望月桂 自由を扶くひと」展によせて」『原爆の図丸木美術館ニュース』161号、2025年4月、4頁

展覧会に至る過程に考えたこととして、①研究会ではなく調査団と称したこと、②図録でなくZINEを作ったこと、③展覧会づくりにおける本展ならではの特殊な体制のことを記した。

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「沖啓介オーラル・ヒストリー」『日本美術オーラル・ヒストリー・アーカイヴ』2023年12月実施(全3回)

沖啓介(1952-)は、アーティスト、デザイナー、サウンドアーティスト。第1回では生い立ちから、先祖の沖冠岳・沖冠嶺のこと、音楽と美術との出会い、桜町高校で体験した高校生運動、バンド活動、多摩美術大学への進学、李禹煥ゼミ、田村画廊など神田にあった画廊のこと、シュルレアリスムへの考えをお聞きした。

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「一九五〇年代の久里洋二 美術—漫画—アニメーションの再編成」『現代思想』5月臨時増刊号、53巻5号、2025年4月、51-63ページ

久里洋二(1928-1924)の出発点について、最初期の漫画作品、先行する小野佐世男との重なり、漫画と絵画と立体、読売アンデパンダン展、中原佑介との関り、アニメーションへの新出と安保闘争をめぐる「新しい日本の会」をつうじて、論じた。

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「日本美術史における西洋化」「イギリス思想と日本近代美術」野村啓介編『西洋へのまなざし/日本へのまなざし 日欧文化関係史への招待』ミネルヴァ書房、2025年3月

2本の論文を寄稿。「日本美術史における西洋化」は、「美術」の誕生から戦争画まで、入門的な内容。「イギリス思想と日本近代美術」は、イギリス思想がなぜ日本に受け入れられたのか、イギリスの美術は、作品においてそれほどでも、日本美術において思想的な影響が大きかったことを論じた。

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「「新しい女」と近代漫画」マグダレナ・コウォジェイ編『視覚文化は何を伝えるか—近代日本と東アジアにおける表象資料』春風社、2025年3月、73-92頁

一般向けの読み物として、近代漫画とは何か、言葉の由来、江戸時代までの絵や戦後の漫画との違いを紹介。その上で、『東京パック』に掲載された、青鞜の人々を描いた漫画について考察した。

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小笠原敏晶記念財団2025年度調査・研究への助成(現代美術分野)採択
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研究代表者として獲得。

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「二つの「アナキズム」展を観て」『アナキズム文献センター通信』71号、2025年1月15日、2頁
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「しないでおく、こと。芸術と生のアナキズム」展(豊田市美術館)と「オタケ・インパクト 越堂・竹坡・国観、尾竹三兄弟の日本画アナキズム」展(泉屋博古館)を観て、考えたことを綴る。

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サントリー文化財団2024年度研究助成「学問の未来を拓く」採択
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「アナキズム芸術をひらく」。研究代表者として獲得。

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「地下出版のイメージ史試論」『大正イマジュリィ』18・19号、2024年7月、13-25頁

2023年3月の大正イマジュリイ学会での講演をもとに論文化。大尾侑子『地下出版のメディア史』が提起した事柄をふまえ、近代日本における合法-半合法-非合法をめぐるイメージ史を素描した。

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科研費基盤研究(B)(一般)採択 2024-2026年度

「日本アナキズム芸術運動研究:基礎資料の調査・公開・探究」。研究代表者として獲得。

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「奥野恵オーラル・ヒストリー」『日本美術オーラル・ヒストリー・アーカイヴ』2021年11月・12月実施、2023年11月公開​(第1回、第2回)

アートフロントギャラリー代表取締役社長を務める奥野氏に、生い立ち、1970年ごろの東京芸術大学における学生運動のこと、ゆりあ・ぺむぺる工房のこと、ギャラリー設立からファーレ立川に至る歴史を伺った。

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「アナキスト・テロリスト・アーティスト 大杉栄と画家たち」小田原のどか・山本浩貴編『この国(近代日本)の芸術』月曜社、2023年11月

大杉栄が残した芸術論は文学や演劇に関するものに限られるが、有島生馬の追悼文によると、実は大杉は眼の人で、美術評論家よりずっと絵を見る目を持っていたという。その証言を導きに、大杉栄と実際に交わった五人の画家たち、幸内純一、尾竹紅吉、望月桂、林倭衛、内田巌を論じた。

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「近代日本に芸術移民した朝鮮人・台湾人の芸術家たちのこと」『Mネット』230号、2023年10月

今日の移民問題改善に行動する雑誌のアート特集に寄せて、日本近代美術史をアジアのトランスナショナルなものへと読み直す試みを紹介するエッセイ。韓国の裵雲成(ペ・ウンスン)、全和鳳(チュン・ファハン)、白榮洙(ペク・ヨンス)、台湾の陳澄波(チェン・チェンポー)のことなど。


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「昭和元禄映画破壊−−松本俊夫における「日本的なもの」」戦後映像芸術アーカイヴ編『新説 松本俊夫論』戦後映像芸術アーカイヴ、2023年5月

1960年代から70年代初頭における松本俊夫の映画の展開を、「昭和元禄」という時代俗称を切り口に考察。1960年代前半には『西陣』において政治的な意識と「日本的なもの」が結びつき、70年代初頭には『修羅』において人間性を破壊するプロセスが一層むき出しになったことを論じた。

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「クリヨウジ(久里洋二)オーラル・ヒストリー」『日本美術オーラル・ヒストリー・アーカイヴ』2023年2月実施、2023年4月公開(全1回)

戦後の実験アニメーション作家の先駆者・クリヨウジ氏に、1950年代における漫画からアニメーションへの展開、日米安保条約改正に反対する「若い日本の会」のこと、1960年代の「アニメーション三人の会」、テレビ番組「11PM」のことなどを伺った。

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講演「戦後の社会と美術家」植竹邦良展・関連講演会、府中市美術館、2023年6月25日

前衛美術会の画家・植竹邦良について、針生一郎、ヨシダヨシエ、織田達郎による批評、雑誌『近代文学』、『こどものバイエル』挿絵、彼自身のいう「無数の断面」を論じた。

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「水平社運動のマンガ 西光万吉が描いた熱と光」『メディア芸術カレントコンテンツ』2023年2月(リンク)

『水平新聞』に掲載された漫画、水平社運動のグラフィックについて考察。それらのイメージがこの運動の原理を示すものであり、表現としては小川芋銭や柳瀬正夢を受け継ぎつつ、プロレタリア美術と戦争美術のあいだのミッシングリンクを埋めるものであることを論じた。

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書評「大尾侑子『地下出版のメディア史』」『図書新聞』3556号、2022年8月、3頁

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「日本最初期のフェミニズム・アート」『メディア芸術カレントコンテンツ』2022年8月(リンク)

日本における最初のフェミニズム・アート宣言について。尾竹紅吉(富本一枝)「新しい女は瞬間である」(1913年)は、「新しい女」であることの正当性を絵画における必然性(公理)の観点から論じたもので、彼女の文章は今こそリアリティを持つことを指摘した。

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「『水平新聞』の漫画」『月刊アナキズム』2022年8月、7頁

新しいアイデアのエスキースのようなものとして。

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「前衛のアポトーシス 政治-芸術の消滅と転生」『美術フォーラム21』2022年7月、24-30頁

『前衛の遺伝子』の補遺となる論考。日本近代の「前衛」とは何か、何が「前衛」を殺すのか、「前衛」が失われて現在にどうのようにつながるのかを、ダイアグラムを用いて論じた。

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Gen Adachi. 'Kokuyokai: An Anarchist Avant-Garde Art Collective in Modern Japan.' Group Dynamics: Collectives of Modern Period. Munich: Lenbachhaus Museum, 2021. pp.19-21.
(英文、ドイツ語への翻訳つき)
2021年11月から2022年6月までドイツ・ミュンヘンのレンバッハハウス美術館で開催されたGroup Dynamics展の図録に寄せた文章。黒耀会の紹介と現代的な意味について。


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